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フタの閉まらない松花堂弁当は美味か

 三コマの教場試験をおえ、学生たちの血と汗と涙のつまった答案用紙400人を背負い、キング・コングをみにいった(どういう文脈や)。

 われわれ夫婦は、とにかくあらゆるジャンルの映画を見てきた。でも、夫婦二人で共通して楽しめるのは、良質の社会派の映画くらいで、二人の好みはじつは対極。

 ダンナはヨーロッパの芸術性の高い恋愛映画が好き(と、ここまで書いたところで、ダンナから良質の恋愛映画であれば、アメリカンも許すとの一声が。長々とアメリカの恋愛映画について語りだしたので、放置)。しかるに、わたしは、恋愛ものは全然ダメ。男女が秘められた思いを胸にウジウジしているのを、わざわざ大きなスクリーンで1800円という大枚はたいて見る理由がみつからない。

 一方、わたくしはパニックもの(無意味に巨大なイカとかタコとかヘビとかが襲ってくる古典的なヤツから、最近のエイリアン、災害ものまで幅広く)がすき。
 何といっても、大きなスクリーンでみがいがあるし、CGの制作費がかかっただろうから、入場料を払うのにも抵抗はない(せこい)。
 
 で、キング・コングである(何が、で、なんだ)。

 この映画には一見すると、われわれ夫婦のツボをおさえる要素がてんこ盛りではないか。

 まず、巨大なゴリラがでてきて暴れ回るといえば、おお、パニック映画ではないか。さらに、この映画の本筋は、心優しき金髪美女とゴリラの恋物語にある。種の相違に目をつぶれば、一応、恋愛映画である(笑)。

 しかも、二人が共通して好む社会派の要素もある。大恐慌の荒んだ世相を背景に、文明と野蛮が出会うことによって、両者が不幸になるという、文明の野蛮さを告発するストーリーは、わたし好みでもある。

つまり、この映画は完璧なはずであった。われわれ二人にとって。

 でだ。たしかに、上の三つは、申し分ない映像化がなされてました。俳優もいい味だしてたし、お金もかかってました。でもね、一言言わせてもらうとね。

 ながい。長すぎるんだよ。三時間越えるんだよ。

 なんで長くなるかといえば、本筋と関係ない要素が多すぎるから。

物語の狂言回したる映画監督カールにまつわる部分は「エド・ウッド」風、
リングの主演女優と戦場のピアニストの主演男優の船上での恋物語は「タイタニック」風、
座礁シーンは「十五少年漂流記」風、
野蛮で奇怪な先住民との戦いは「インディ・ジョーンズ」風、
恐竜大決闘シーンは「ジュラシック・パーク」風、
ショー・タイムの描写は「コットン・クラブ」風、
探せばもっとでてくるさながら映画の歴史のてんこもり。

 一作にありとあらゆるものをつめこみすぎて、松花堂弁当のフタがしまりません。一つ一つが美味しい料理でも、ここまでくると胸がやけます。
 化粧があつすぎると、どんなに美しい女性でも、屋根の上の魔よけに近くなっていくように、昨日のキングコングはある意味すごかったです。

はっきりいいます。キング・コングはゴリラと金髪美女が心を通わしてくれれば、あとは何もいらないんです。それ以外のものはそれ以外の映画でみればいいんです。

商品を多機能にして商品の売り上げをのばそうとする試みが往々にしてうまくいかず、いろいな無駄な機能を切りすてシンプルでスタイリッシュにした方が、売れるということは、巷でよくある話。

つけたすことは誰でも思いつけども、不必要なモノをきって完成形に近づけることは案外難しい。

かけだしの学者さんの論文ほど、知っていることをすべててんこもりにして論旨が不明となるものが多い。

わたしがかけだしの学者さんだったころ、ダンナが「論文は、問題提起、自分の主張を裏付ける三つの論拠(なぜ根拠が三つなのかそれについては有効な説明はなされなかった)、結論、この三つがそろっていればいい。文飾は必要ない。」とはよく言ったものだ。

ある意味真理だと思う。真理は得てしてシンプルなのである。
力学上むだがない橋は姿も美しい。
アタマのいいプログラマーほどシンプルなプログラムをかく。

シンプル イズ ビューティフル。
 
 


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コメント 4

ブラック宮沢

先生、お久しぶりです。
いきなりですが、この映画に対する先生の見方に対して私は異論があります。

かの監督は元々B級パニック映画監督でした。
作品内容はといえば木○洋画劇場レベルです。
そして本来そちらがやりたい人間のようです

つまりこの「キング・コング」は…ハリウッドが総力をあげて作成した○曜洋画劇場ではないかな、というのが正しい見方かと(笑)

であるがゆえに美女とコングの愛はおまけ。
わんさか出てくる恐竜・怪生物が暴れまくるところが映画のメインだと思います。
by ブラック宮沢 (2006-01-29 21:13) 

アメシィー

 私もキング・コング見ましたよ~。コングと恐竜の騒動はグロテスクだ、と思いました。
 正直言って、コングがビルから落ちていったあとの場面がいただけませんでした。
by アメシィー (2006-01-30 10:47) 

ishihama

>ぶらっく宮沢くん
ずいぶん元気がでてきたみたいで、何より。
B級映画はふつう短いでしょう。三時間B級映画を見せられたら、腰にきます。

>アメシィーさん
わたしも「おい、2005年版なら、自然に殉じてコングのあとをおえ。」とアン・ダロウにツッコミをいれたくなりました(あくまでわたしの独断ですが)。
納得のいかないラストです。
by ishihama (2006-01-30 11:07) 

ブラック宮沢

確かにB級映画を三時間はきついですね。

じつは私、C級映画研究のために「午後のロードショー」を一週間見ようとしたことがあるのですが…無理でした。

すごかったのが鉄砲で撃たれても死なない熊をベトナム帰還兵がバズーカで粉みじんにする「グリズリー」

あと、恐竜と鎧武者が同時に存在する「恐竜の島」

それからコレは木曜洋画劇場だったような気がしますが…ヒッチコックの「鳥」をまんまパクって鉢に置き換えた「キラービー」

…なんでこんな映画ばっかり知っているんだ…私は…。
by ブラック宮沢 (2006-01-31 15:44) 

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